日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵胆管合流異常を伴つた先天性胆管拡張症の1例における胆汁中膵酵素の活性化の検討
柴田 時宗早川 哲夫近藤 孝晴北川 元二酒井 雄三大野 秀樹桐山 勢生二村 雄次早川 直和神谷 順一前田 正司岡本 勝司近藤 哲金井 道夫
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 86 巻 7 号 p. 1513-1518

詳細
抄録

われわれは膵胆管合流異常を伴つた先天性胆管拡張症の1例において胆汁中膵蛋白分解酵素の存在様式を検討した. PTC穿刺時の吸引胆汁中の蛋白分解酵素は総て活性型であつたが, 48時間自然流出後にPTCD tube より採液した胆汁中の蛋白分解酵素は不活型のみであつた. また, PTCDを clamp する前は総て不活型であつた蛋白分解酵素は, clamp 後の経過時間により活性化率の上昇を認めた. 一方, 不活型蛋白分解酵素を含む胆汁の in vitro の検討では活性型 trypsin は現れなかつた. 先天性胆管拡張症の胆汁中での膵蛋白分解酵素の活性化には, 膵液の胆道内への持続的混入と一定時間の貯留が必要であると考えられた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top