日本消化器病学会雑誌
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生理的濃度胆汁酸の大腸発癌における意義
宇賀 神浩人
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1989 年 86 巻 8 号 p. 1617-1626

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抄録

大腸癌発癌における二次胆汁酸の promoter 作用について検討するために, ラット大腸に人工肛門を作製し便流のない大腸にMNNGによる感作を行なつた後, 便 (A群), 便と同濃度の生理的な量の二次胆汁酸つまり deoxycholic acid と lithocholic acid (B群) 及びコントロール溶液 (C群) の注腸投与を行なつた. 肉眼的に認められた腫瘍の発生率と発生個数に関して各群間に有意差を認めなかつたが, 肉眼的に平坦な部位においてA, B群に有意に組織学的異型病巣の数が多かつた. さらに抗BrdUモノクローナル抗体を用いた細胞増殖動態の検討結果も含めて, 便及び便と同濃度の生理的な量の二次胆汁酸が大腸癌発癌において promoter 作用を持つと考えた.

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