1989 年 86 巻 9 号 p. 2196-2203
大腸癌を合併した6症例を含む潰瘍性大腸炎60症例, 100病変を対象とし, 顕微蛍光測光法で核DNA量の解析を行つた. 癌, dysplasia (30病変) では aneuploid あるいは polyploid が77%に認められたが, non-dysplstic な病変 (53病変) の94%は diploid であり両群間で有意差を認めた. 癌, dysplasia では背景正常粘膜でも polyploid となることがあつた. non-dysplastic な活動性病変は全て diploid であり, 非活動性病変の10%に polyploid を認めた. polyploid cells の出現率は異型度と良い相関を示した. 以上の結果より潰瘍性大腸炎における dysplasia の診断に本方法は有用と考えられ, 今後 high risk 群の選別の参考となり得るものと思われた.