日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
原発性肝癌に対する経カテーテル的肝動脈塞栓術後の胃病変の発生因子に関する研究
石垣 宏須藤 俊之佐々木 大輔対馬 健一樋口 茂樹馬場 滝夫佐野 正明棟方 昭博吉田 豊高木 伸也
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1990 年 87 巻 1 号 p. 57-61

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抄録

原発性肝癌27例に施行した経カテーテル的肝動脈塞栓術(TAE)46回について, TAE後の胃ビラン•潰瘍の発生に関与する因子を検討した. 食道静脈瘤の合併やTAEが1回目か2回目かは胃病変の発生への関与は低かつた. TAE後に上腹部痛のある例で胃病変の発生が多かつた. TAE前の肝予備能と胃病変発生には有意の関連はなかつた. ΔAFP (AFPのTAE前の値を1とした後の値) が0.2未満の例で胃病変が高頻度であつた. 各例について各注入物質の胃への流入可能性と胃病変の発生を検討したが, 胃病変発生は予測できなかつた. ヒスタミンH2拮抗剤には胃病変発生に対する予防効果は期待できなかつた.

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