日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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肝疾患における血中組織プラスミノーゲンアクチベータ (t-PA) の測定と臨床的意義
前川 久登吉川 雄二戸田 剛太郎岡 博
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1990 年 87 巻 1 号 p. 62-68

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抄録

肝疾患において血中組織プラスミノーゲンアクチベータ (t-PA) が上昇することが知られている. 今回, 急性肝炎 (AH: 12例), 慢性肝炎 (CH: 8例), 代償性肝硬変 (CLC: 40例), 非代償性肝硬変 (DLC: 23例), 肝細胞癌 (HCC: 35例) の各肝疾患における血漿t-PA抗原量をEIA法で測定した. t-PA高値を示す割合はAHでは発病初期に33%, CHでは25%, CLCでは45%, DLCでは91%, HCCでは60%であつた. 肝硬変症例におけるt-PAは総ビリルビンとは正相関, 蛋白合成能の指標とは負相関を示し, 肝機能の低下とともに上昇する傾向が明らかであつた. HCC症例におけるt-PA上昇の原因としては, 基礎にある肝機能低下に加え, 播種性血管内凝固症候群の関与が推定された.

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