1990 年 87 巻 10 号 p. 2333-2341
十二指腸液の胃内外分泌に及ぼす影響をみるために雑種成犬に迷走神経保持幽門前庭部胃嚢を作成し, glycocholate, taurocholate およびイヌ胆汁, ヒト膵液を用い幽門前庭部胃嚢内灌流を行い, 幽門洞の機能を胃内外分泌反応の面より検討した. Glycocholate, taurocholate による胃嚢内灌流では, 20mMの濃度で胃酸分泌量, 血清 gastrin 分泌反応が有意に増加した. イヌ胆汁, ヒト膵液による胃嚢内灌流では灌流開始直後より, 著明に血清 gastrin 値および胃酸分泌量の増加が認められ, 血清 gastrin 分泌反応も著明に高値を示した. これらの成績より, 胆汁, 膵液を含む十二指腸液の胃内への逆流は, 血清 gastrin 値, 胃酸分泌量を増加させる要因の1つとなることが明らかにされた.