1990 年 87 巻 10 号 p. 2352-2357
モルモット単離胃腺を作成し, teprenone, H2受容体拮抗剤 (H2RA) の胃粘膜ホスファチジルコリン (PC) 合成への効果を検討し, 合わせて teprenone のCTP: phosphocholine cytidylyltransferase (CTF) 活性に及ぼす効果も検討した. Teprenone は,〔3H〕choline のPCへの取込を用量および時間依存性に刺激し,〔3H〕choline 標識胃腺においてもPC合成を経時的に刺激した. 一方H2RAは取込実験においてのみ,〔3H〕PC合成を抑制し, パルミチン酸によるPC合成刺激作用も抑制した. また teprenone は, CTF活性を有意に亢進させた. 従つて teprenone は, CTFの活性化を介しPC合成を刺激し, 一方H2RAは choline transport または choline kinase を抑制してPC合成を抑制すると思われた.