1990 年 87 巻 10 号 p. 2358-2365
70例の大腸癌について免疫組織学的方法で ras oncogene 蛋白に対する monoclonal 抗体を用い, p21の局在と進行度や予後との関係について検討した. 大腸癌の進行度を表わす最大腫瘍径, Stage 分類, Dukes 分類および深達度とNHK-, K-ras の陽性率は良く相関した. 切除術の治癒度の悪化にともないNHK-, K-ras 陽性率は高率となり, 高い相関性が示された. さらには, K-ras 染色での陽性群と陰性群間には, 術後生存率に有意差があり, K-ras 陰性の大腸癌は予後のよい大腸癌である可能性が示された.