日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
肝内型ならびに肝内優位型肝内胆石症の非手術例における長期遠隔成績
岡田 周市木村 邦夫税所 宏光土屋 幸浩梶川 工大藤 正雄
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1990 年 87 巻 2 号 p. 218-224

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抄録

肝内胆石症の多様な病態に対する治療方針を明らかにする目的で, 本症における保存的治療の診断後5年間の遠隔成績を検討した. 対象は肝内型 (I) および肝内優位型 (IE) の本症のうち, 診断時に保存的治療もしくは無治療の治療方針を採り, その後5年以上経過した29例である. 21例 (72%) では良好な経過を示し, 死亡および肝内胆管癌の合併はみられなかつた. 胆石の分布では片葉型が両葉型に対し, 胆石の部位では末梢肝管型が主肝管型に対し, それぞれ有意に経過良好であつた. 臨床所見の重症度では軽症例が重症例に対し有意に経過良好であつた. 肝外胆管胆石の合併例において内視鏡的乳頭切開術による肝外胆管胆石の除去は臨床所見の改善に有効であつた. 肝内胆石症 (I, IE) における保存的治療の長期遠隔成績は胆石の部位をはじめとする診断時の病態によつて異なることが明らかとなつた. したがつて, 肝内胆石症の治療法は病態に基づいて適切に選択する必要がある.

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