1990 年 87 巻 2 号 p. 225-234
肝細胞癌54例において, 肝動脈塞栓後に放射線療法 (併用療法) を施行した28例と, 放射線療法のみ施行した26例の臨床効果を比較した. Partial Response は, 併用療法で82.1%, 放射線療法で69.2%に見られた. 併用療法の累積生存率は, 1年70.8%, 3年37.1%, 5年27.9%であり, 放射線療法に比べ長期生存例が多数見られ, また, 累積再発率は, 併用療法が低値を示した. 併存肝障害度が Child Cである例は, 両治療共に予後不良であつた. 腫瘍径5cm以下の肝細胞癌または門脈腫瘍塞栓合併例における肝動脈塞栓療法との累積生存率の比較では, 併用療法は有意に予後良好であつた. 症例を選択した併用療法は, 有用性の高い治療法と言える.