日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
Adaptive cytoprotection における胃粘膜内プロスタノイド量および胃粘膜下血流量に関する検討
織畑 道宏
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 87 巻 3 号 p. 745-754

詳細
抄録

塩酸を用いたラット胃の adaptive cytoprotection (AC) の機序を調べるため, 胃粘膜内 prostaglandin (PG) 量と胃粘膜下血流量の変化を検討した. PGE2とPGFは mild irritant (MI) 投与後一過性に増加し次の strong irritant (SI) 投与でさらに増加した. Thromboxane B2 (TXB2) はSI投与後増加しMI前投与はその増加を抑制した. 6-keto-PGFとPGD2はSI単独投与でのみ増加した. Indomethacin (IND) 前処置はPGを前値以下に減少させた. 胃粘膜下血流量はMIとSIと投与後一過性に増加しINDはMI投与後の血流増加を遷延させた. 以上の成績から塩酸のACにPGE2とPGFの一過性増加が関与するが, PG増加は血流量の増加と関連がないと考えられた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
次の記事
feedback
Top