日本消化器病学会雑誌
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肝切除後における末梢および門脈血中総胆汁酸濃度の動態に関する実験的研究
古井 純一郎
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1990 年 87 巻 3 号 p. 799-810

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抄録

正常肝及びCCL4障害肝ラットで肝切除後末梢及び門脈血中総胆汁酸濃度 (Pe. TBA, Po. TBA) を経日的に測定し, その変動の意義について検討した. Pe. TBA, 肝内短絡率及び肝胆汁酸処理能は肝切除量が大なるほど, 障害肝ほど変動が大きかつた. しかし Po. TBA には有意の変動はみられなかつた. Pe. TBA と Po. TBA, 肝胆汁酸処理能及び肝内短絡率との間にはそれぞれ有意の相関がみられた. また肝胆汁酸処理能と肝再生率との間にも有意の相関がみられた. 以上の結果から, (1)肝切除後 Pe. TBAは胆汁酸の肝への取り込み低下および門脈-肝静脈シャントの増加により上昇する. (2)肝切除後における肝胆汁酸処理能の算出は肝切除後の肝再生の指標として有用である.

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