日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
早期癌類似進行胃癌の臨床病理学的検討
鄭 鳳鉉下田 忠和池上 雅博大柴 三郎
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1990 年 87 巻 5 号 p. 1139-1145

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抄録

癌巣内に消化性潰瘍を有する, 早期癌類似進行胃癌128病変(開放性潰瘍73病変, 瘢痕性潰瘍55病変)について, 癌巣内消化性潰瘍の意義を臨床病理学的に検討した. これらの壁深達度は, Borrmann 型進行癌に比し, pm癌が有意に多かつた. 粘膜内癌巣の平均最大径は51.8mmであつた. 癌巣内消化性潰瘍は, Ul-III以上の深い開放性潰瘍が多く, 粘膜下線維症は高度であつた. 粘膜下層以下では, 癌細胞は散在性の下細り浸潤を示し, 消化性潰瘍による粘膜下線維症が, 癌先進部に先行するものが多かつた. 以上より, 早期癌類似進行胃癌は, 悪性サイクルによる深い潰瘍と高度の粘膜下線維症のもとで形成される癌であると考えられた.

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