日本消化器病学会雑誌
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胆管閉塞ラットにおける Sulfobromophthalein 代謝の検討
石井 耕司山室 渡布施 正博水吉 秀男
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1990 年 87 巻 6 号 p. 1423-1429

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抄録

我々はヒトの閉塞性黄疸にBSP負荷で血中システイン抱合型BSP (Cyst-BSP) が増加する事を観察した. 今回, ラットの胆管閉塞 (O-J) を作成し Cyst-BSP の由来を検討した. 未処置ラットを対照としBSP負荷, 肝グルタチオン量, 肝グルタチオンSトランスフェラーゼ (GST) 活性測定を行つた. また, 腎摘の影響, 肝細胞膜の役割も検討した. (1) O-Jでは胆汁中GSH-BSPの排泄量は著減し, ヒトと同様に血中 Cyst-BSP の割合が増加した. (2) O-J肝のグルタチオン量とBSPに対するGST活性は増加していた. (3) 腎摘下では, O-Jで血中 Cyst-BSP の比率に著変はなかつた. (4) GSH-BSPに2群の肝細胞膜成分を加え, O-Jでのみ Cyst-BSP への変化が観察された. 以上より, O-JではGSH-BSPの一部が肝細胞膜で Cyst-BSP になると思われた.

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