日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
16,16-dimethyl prostaglandin E2による胃粘膜保護作用
胃液及び粘液層の役割
谷口 友志吉田 行雄木村 健間藤 方雄
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1990 年 87 巻 8 号 p. 1644-1652

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抄録

PGsの細胞保護作用の機序について多くの報告があるが, いま尚明確にされていない. 我々は, PGsによる胃液の増加と粘液層の肥厚が細胞保護作用に強く関与しているとの仮説を立てた. ラットを用いて, 胃液を除去した状態, 及びさらに粘液層を除去した状態において, dmPGE2の ethanol に対する胃粘膜保護作用を肉眼的並びに組織学的に検討した. その結果, 胃液を除去すると dmPGE2の前投与に拘らず, 40%ethanol でびらんが発生した. さらに粘液層も除去した状態下では30%ethanol でコントロール群と有意差なくびらんが発生し, dmPGE2の持つ細胞保護作用は消失した. 組織学的検索では, dmPGE2投与, saline 投与に拘らず, 発生したびらんの深さに差はなかつた. このことより, dmPGE2の細胞保護作用発現にはdmPGE2による胃液の増加と粘液層の肥厚化が重要な役割を担つていると考えられた.

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