1990 年 87 巻 8 号 p. 1662-1669
虚血再輸血胃粘膜病変形成における血小板活性化因子(PAF)の役割をPAFの選択的拮抗剤CV-3988による病変抑制効果および好中球フリーラジカル産生に与える影響から検討した. CV-3988(10mg/kg)の投与により虚血再輸血胃粘膜病変の形成は肉眼的にも組織学的にも有意に抑制された. 好中球フリーラジカル産生能は虚血再輸血により門脈内, 腹部大動脈内血液のいずれにおいても有意に増加した. しかし, その増加はCV-3988の投与により有意に抑制された. 以上より, 虚血再輸血胃粘膜病変の形成には好中球が産生する活性酸素が重要な役割を果たしているものと考えられた. また, PAFは虚血により産生され好中球の活性化に関与しているものと推測された.