Adriamycin (ADR) の大量動注時に, 肝静脈血を分離し選択的に活性炭吸着 (DHP) する方法を用い進行肝細胞癌3例を治療した. 5分間の持続動注 (100~150mg/m2) と並行して約20分間のDHPを施行し, その間のADR濃度を吸着筒の前後及び末梢血で測定した. また体外循環及びADRによる副作用と抗腫瘍効果を検討した. 3例の末梢最高濃度は2μg/ml以下に留まり, 吸着率は各々, 31.1, 72.3及び51.2%であつた. 治療後2日目をピークにGOT, GPTの上昇及び血球成分の減少を来したが一過性であつた. 治療前に汎血球減少症を認めた肝硬変例でWBCが750まで低下したが3例とも重篤な副作用を認めず良好な腫瘍直接効果が得られ, 本法の有用性が示された.