日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝細胞癌に対する新しい大量動注化学療法
肝静脈血の選択的活性炭吸着の併用
具 英成斉藤 正樹藤原 澄夫岩崎 武西山 裕康富永 正寛前川 陽子笠原 宏大柳 治正佐古 正雄斉藤 洋一
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1990 年 87 巻 9 号 p. 1864-1872

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抄録

Adriamycin (ADR) の大量動注時に, 肝静脈血を分離し選択的に活性炭吸着 (DHP) する方法を用い進行肝細胞癌3例を治療した. 5分間の持続動注 (100~150mg/m2) と並行して約20分間のDHPを施行し, その間のADR濃度を吸着筒の前後及び末梢血で測定した. また体外循環及びADRによる副作用と抗腫瘍効果を検討した. 3例の末梢最高濃度は2μg/ml以下に留まり, 吸着率は各々, 31.1, 72.3及び51.2%であつた. 治療後2日目をピークにGOT, GPTの上昇及び血球成分の減少を来したが一過性であつた. 治療前に汎血球減少症を認めた肝硬変例でWBCが750まで低下したが3例とも重篤な副作用を認めず良好な腫瘍直接効果が得られ, 本法の有用性が示された.

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