日本消化器病学会雑誌
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B型慢性肝炎の末梢血単核球 Beta2-microglobulin に関する研究
宮岡 弘明
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1991 年 88 巻 1 号 p. 57-64

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抄録

B型慢性肝炎の発症機構を肝細胞のHLA class I発現の面から解析する目的で, 末梢血単核球と肝細胞の β2-microglobulin (β2m) を測定した. 末梢血単核球β2mは, 慢性活動性肝炎で健常者 (P<0.01), 慢性非活動性肝炎 (P<0.01) に比較し高値であつた. また肝細胞β2mは慢性活動性肝炎で disease controls (P<0.01) に比較し高値であつた. 肝組織内にインターフェロン-γ陽性単核球を認める症例は, 認めない症例に比較し, 単核球β2mは有意に高値 (P<0.05) であつた. 以上の成績を総合すると, B型慢性肝炎ではインターフェロン-γを介して肝細胞にβ2m (HLA class I) が発現することが示唆された.

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