1991 年 88 巻 1 号 p. 71-76
ヒト血中 phospholipase A2 (PLA2) の熱安定性につき, ブタ膵PLA2(p-PLA2) および十二指腸液中PLA2のそれと対比した. PLA2は, phosphatidylcholine を基質とし, 酵素活性として測定した. ヒト十二指腸液中PLA2およびp-PLA2は55°Cの熱処理でも安定であるのに対し, ヒト血中PLA2活性は, 55°C, 5分間の preincubation により著明に低下し, preincubation 温度の検討では, 50°CからPLA2活性は低下しはじめ, 55°C以上では著明であつた. 以上より, 膵由来のPLA2は熱に安定であるが, ヒト血中には易熱性のPLA2も存在し, 測定温度, 熱処理の有無により, PLA2活性の意義も異なると考えられた.