1991 年 88 巻 11 号 p. 2733-2740
十二指腸潰瘍患者 (DU) の胃酸分泌能とその加齢変化を検討する目的で, pentagastrin (PG) の漸増投与法 (0.22~6.0μg/kg/hr) による胃液検査を行い, 最高胃酸分泌 (Vmax-c), PGの half maximal dose (Km-c), PGの0.22μg/kg/hr投与時の分泌の最高分泌に対する百分率 (SI) を求めた.
DU群は各年代で正常者 (N) 群に比較し基礎胃酸分泌 (BAO), Vmax-c, およびSIは高値を, Km-cは低値を示した. N群では, BAOとVmax-cは加齢とともに低下したが, SIとKm-cは加齢性変化を示さなかつた. DU群では, BAO, Vmax-c, Km-c, SIのいずれにも加齢性変化を認めなかつた.
DUの高い胃酸分泌能と壁細胞の gastrin に対する高感受性は全年齢層のDUに特徴的な病態であると考えられた.