日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵石症に対する体外衝撃波結石破砕療法 (ESWL) の基礎的, 臨床的検討
大原 弘隆後藤 和夫野口 良樹星野 信
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 88 巻 12 号 p. 2861-2870

詳細
抄録

膵石症に対するESWLの臨床的な効果を検討するとともに, 実験的に本法の安全性についても検討を行つた. 12例の主膵管内に結石を有する慢性膵炎患者にESWLを施行した. ESWL前に内視鏡的膵管口切開術は施行しなかつた. 全例において結石は完全に破砕され, そのうち9例は破砕片も主膵管からすべて消失した. その結果, 膵炎発作が消失したばかりでなく, 膵内外分泌機能の温存への有効性も認められた. 犬の膵臓に衝撃波を照射した実験では膵実質に異常は認めず, 膵石症患者でも重篤な合併症は認めなかつた. 膵石症に対するESWLは患者への侵襲が少なく, 大結石にも有効であり, 今後, 膵石症に対する新たな非手術的療法として有用な治療法になりうると考えられた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top