日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
各種肝疾患における抗カルモジュリン抗体の臨床的意義について
鶴谷 孝畑耕 治郎早川 晃史青柳 豊上村 朝輝朝倉 均石原 清本田 一典豊島 宗厚曽我 憲二柴崎 浩一市田 文弘
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1991 年 88 巻 2 号 p. 131-137

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抄録

各種肝疾患における血中抗 calmodulin (CaM) 抗体をELISA法にて測定した. CaM はウシ大脳より抽出精製しSDS-PAGE, Western Blot 法にて純度, 抗原特異性を確認した. IgM 型抗体は自己免疫性肝炎 (AIH), 肝硬変 (LC) および急性ウイルス肝炎 (AVH), IgG 型抗体はLC, AIHで各々高頻度に陽性であつた. またルボイド肝炎では3例全例が陽性, 逆に薬剤起因性肝内胆汁うつ滞症では5例全例が陰性であつた. AVH群での IgM 型抗体陽性率は, A型70.0%, B型33.3%, 非A非B型33.3%であり, また急性期66.7%, 回復期33.3%で発症後26日目に最高力価を示した. 劇症肝炎群はAVH群より抗体価が高く, CAH例ではGPTの上昇1~2ヵ月後に力価も増加した. 以上から抗 CaM 抗体の出現機序として肝細胞 CaM の暴露, 免疫応答の異常による自己抗原との反応等が想定された.

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