日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝細胞癌切除例の術後経過, 特に肝不全症状出現状況に関する検討
早川 康浩鵜浦 雅志稲垣 豊卜部 健金子 周一木谷 恒米島 学小林 健一服部 信福岡 賢一田中 延善森岡 健牧野 博金井 正信杉本 立甫
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1991 年 88 巻 3 号 p. 681-688

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抄録

肝細胞癌切除例59例 (慢性肝炎 (CH) 合併11例, Child A肝硬変合併25例, Child B肝硬変合併23例) の生存率•再発率を含む術後経過, 特に術後1年以内の肝不全症状出現の有無とその要因について肝細胞機能の推移の点から術前の病態別に検討した. 術後生存率•再発率には各群間で有意差はなかつたが, 術前 Child B群が術後1年以内に肝不全症状を呈した頻度は91%と, Child A群28%, CH群9%に比して有意に高率であつた. またCH群および Child A群のヘパプラスチンテスト•血清アルブミン値には術直後の低下からの回復がみられたのに比して, Child B群では術前より低値であるのみならず術直後の低下からの回復も極めて不良で, これが術後頻回に肝不全状態に陥る要因と考えられた.

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