1991 年 88 巻 4 号 p. 1074-1082
急性肝不全における血漿異常プロトロンビンは, latex 凝集法により劇症肝炎82%, 亜急性肝炎100%に陽性を示し, 急性肝炎の33%に比し有意に高かつた. また, 高値例は, ヘパプラスチンテスト, プロトロンビン時間の極めて低下している例が多く, 急性肝障害の重症度判定に有用であつた. この異常プロトロンビンは, Protein induced by vitamin K absence, antagonist-prothrombin (PIVKA-II) に特異的なEIA法では検出されず, また二次元免疫電気泳動法においてもPIVKA-IIとは移動度が異なり, むしろDICにおける異常プロトロンビンと類似していた. 急性肝不全の凝固線溶動態を解明するうえで, この異常プロトロンビンの同定が重要と考えられた.