日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵管胆道合流異常における胆嚢上皮の細胞動態の検討
吉岡 浩小山 研二佐藤 泰彦田中 淳一松代 隆山崎 匡
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1991 年 88 巻 4 号 p. 1089-1096

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抄録

膵管胆道合流異常 (以下, 合流異常) と胆嚢癌の因果関係解明のために, 対照9例, 合流異常26例 (a型21例, b型4例), 胆嚢癌非癌部21例, 胆嚢m癌10例の胆嚢上皮核DNA量を顕微蛍光光度計で測定した. 細胞回転の指標として設定したDNA score の平均値は対照12.1, 合流異常a型27.2, 合流異常b型13.3, 胆嚢癌非癌部14.8, 胆嚢m癌77.2と合流異常a型は胆嚢m癌に次いで有意に高値を示した. 細胞回転の亢進から合流異常a型は前癌状態としての特性を持つものと考えられたが, 細胞回転の亢進していない合流異常b型を勘案すると, 細胞回転だけから癌の発生を論ずることは困難と思われ, 今後細胞回転に影響する因子について詳細な検討が必要である.

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