日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
ハムスターに対するCR1505 (CCK-Antagonist) の短期投与の膵成育に対する影響
蔡 元奎馬場 信雄西村 一郎真辺 忠夫戸部 隆吉
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1991 年 88 巻 4 号 p. 1097-1104

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抄録

CCK拮抗剤であるCR1505 (loxiglumide) のCCK-8の膵栄養効果にたいする影響について syriangolden hamster を用いて検討し, さらに, CR1505単独投与による正常膵の成育に対する影響についても検討した.
CCK-8 (50ng/100g体重•用量) による膵栄養効果はCR1505を50mg/kg体重, 100mg/kg体重の用量にて5日間投与することにより用量依存的に抑制され, 100mg/kg体重の用量では完全に抑制された. CR1505を25mg/kg, 50mg/kg, 100mg/kg, 200mg/kg体重の用量をそれぞれ単独投与したところ, 25~100mg/kgの投与量では対照群に比し, 有意な変化を認めなかつたが, 200mg/kg体重の用量の投与では5日間投与後に膵萎縮現象を引き起こした.
以上の結果より, CR1505がCCK-8の膵栄養効果を抑制し, CCK拮抗作用を有することが明らかとなつた. さらに, CR1505投与にて膵萎縮現象をもたらしたことから, CCKが正常膵の成育に必要である可能性が示唆された.

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