日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胃酸分泌抑制による空腹期胃収縮運動正常化
林 直樹水本 明良伊藤 漸
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1991 年 88 巻 5 号 p. 1168-1176

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抄録

近年消化管内pHと空腹期消化管運動 (IMC) との関係が重要視されている. われわれはイヌを用いて胃運動と胃内pHを同時測定し, 1) 胃酸分泌動態と IMC との関連, および 2) 胃酸分泌を薬剤で調節した際のモチリン誘発性胃前庭部運動に対する影響を検討した. 結果, 空腹期の胃内pHは, IMCの各相と同期した周期的変動を繰り返していた. 又, 胃酸分泌亢進によりモチリン誘発性胃前庭部運動は抑制された. しかしシメチジンで酸分泌を抑制すると, 運動の大きさも伝播も正常化された. 以上より, 空腹期の胃酸分泌動態は胃のモチリンに対する感受性に影響し, 胃運動の調節に対して重要な役割を果たしていることが考えられた.

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