日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
エタノールによるモルモット単離胃主細胞障害に対するプロスタグランジンE2の細胞保護作用
誉田 芳孝西崎 朗中野 修松田 康平和田 謙的崎 尚長尾 宗彦坂本 長逸
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1991 年 88 巻 6 号 p. 1281-1287

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抄録

エタノールによる細胞障害に対するプロスタグランジンE2 (PGE2) の細胞保護作用機序をモルモット胃単離主細胞を用いて検討した. PGE2で主細胞を前処理するとPGE2の濃度に依存してエタノールによる細胞障害が軽減した. このPGE2前処理のpH, 温度が生理的条件であるときに細胞保護作用の最大効果が得られ, 酸性, アルカリ性または, より低温の条件下では細胞保護効果は減弱した. PGE2は主細胞において細胞内Ca2+濃度•初期Ca2+流入量の上昇に影響を与えなかつた. また, PGE2刺激により主細胞内cAMP濃度は上昇したが, forskolin などにより細胞内cAMP濃度を上昇させても細胞保護作用は観察されなかつた. これらの結果から, 単離胃主細胞においてはPGE2はCa2+やcAMP以外の何らかの細胞内過程を介して細胞保護作用を発揮している可能性が示唆された.

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