1991 年 88 巻 6 号 p. 1288-1296
ヒト胃癌株MKN-45細胞産生CEAを免疫源とする7種類のモノクローナル抗体の免疫活性, 親和性を cell binding assay にて評価し, MKN-45移植マウスにおける各抗体の腫瘍集積性と体内動態を検討した. その結果1) CEA特異的な3種類の抗体は親和力が一定で免疫活性に差を有し, CEA非特異的な抗体は前者よりも強い親和力を有していた. 2) 動物実験では, CEA特異的な抗体が非特異的な抗体より高い腫瘍集積と低い正常組織分布を生じ, 高い腫瘍/非腫瘍組織比が得られた. 3) 抗体の腫瘍集積性は抗体の持つ免疫活性により左右され, 親和力は全身からの代謝, 排泄に影響を及ぼし, 癌の免疫検出法の再現性を論ずる際これらの因子の検討が不可欠であると考えられた.