1991 年 88 巻 6 号 p. 1297-1304
消化管カルチノイド腫瘍15例 (胃5例, 十二指腸2例, 直腸8例) を対象に超音波内視鏡 (EUS)像と病理組織像を対比検討した. 消化管カルチノイド腫瘍は発生部位にかかわらずEUSによつて境界が明瞭で, 内部が均一な低エコーの腫瘤像として描出された. 特に82%を占めるsm病変では粘膜下層に相当する第3層に病変の主座があり, 腫瘤をおおう第2層が隆起の途中あるいは頂部で腫瘍の低エコーに接し不明瞭になつていることが特徴的であつた. 低エコーの腫瘍像と非病変部の5層構造との関係より深達度を診断した結果, 88%が正診できた. さらにEUSは, 消化管カルチノイド腫瘍の治療法の選択にも有用な検査法であると思われた.