1991 年 88 巻 6 号 p. 1319-1327
Wistar 系雄性ラットに四塩化炭素肝障害を惹起させ, 同時に安息香酸エストラジオール(0.1mg/100g) またはプロピオン酸テストステロン (5mg/100g) を週2回連続的に12週間腹腔内投与し, 両薬剤の肝に及ぼす影響について検討した. エストラジオールの同時投与では, 生化学検査では著変なく, 形態学的には線維化や脂肪化が抑制される傾向が認められたが, 8週以後肝細胞の過形成性変化が40%に出現した. フローサイトメトリーによる分析では4週で肝細胞増殖の亢進がみられた. 生存率は四塩化炭素単独投与時よりやや低い傾向がみられた. 一方テストステロンの同時投与では, 肝の組織変化は四塩化炭素単独投与の場合と同程度に起こり, 生存率は最も低かつた.