Wistar 系ラットにDMH誘発大腸腫瘍を作製し経時的に観察した. 腺癌28病巣が発生し, 遠位大腸と近位大腸で病理組織像が異なり, 遠位側では固有粘膜を母地とし分化型癌が緩徐に発育し, 近位側ではリンパ濾胞部異型腺管巣を母地として急速に発育し, その発生母地や発育形式が異なると思われた. 次に, 粘液染色, レクチン染色を検討した. UEA-I, PNA染色にて癌巣, 異型腺管巣, 背景粘膜は各々染色性が異なつた. UEA-I染色では1例を除き陽性で, 分腺では主に cell apex, secretory product に, 未腺では主に cytoplasm, secretory product に陽性であつた. 本検討より, レクチン染色はラット大腸において有用な腫瘍マーカーとなり, 微小癌巣の組織診断にも有用と思われた.
