1992 年 89 巻 1 号 p. 68-74
ウルソデオキシコール酸 (UDCA) とそのタウリン抱合型 (TUDC) について, ラット膵外分泌に対する影響を遊離膵腺房を用いた in vitro, および覚醒ラットを用いた in vivo 実験系で検討した. In vitro では300μM UDCAは10-12-10-9M CCK-8刺激時のアミラーゼ分泌を有意に増加させ, 細胞内Ca2+の変動を増強した. 一方, TUDCは軽度のアミラーゼ分泌刺激効果のみを認めた. In vivo においては腸管内UDCA投与は膵外分泌を亢進させたが, TUDCは膵外分泌を刺激しなかつた. UDCAによる膵外分泌亢進はCCK antagonist の投与により抑制されず, secretin 抗体投与により抑制がみられた.UDCAの膵外分泌に対する刺激作用は in vitro では直接作用が考えられ, in vivo では間接効果が示唆された. また in vitro, in vivo のいずれにおいても膵外分泌に対するUDCAの生物活性はタウリン抱合により減弱した.