日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
日本人の Crohn 病における乳糖吸収不良に関する研究
緒方 正信八尾 恒良
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 89 巻 11 号 p. 2655-2663

詳細
抄録

日本人の Crohn 病における乳糖吸収能を調べる目的の Crohn 病患者32例と健常人51例に乳糖20gを負荷して呼気水素試験 (BHT) と乳糖負荷試験 (LTT) を同時施行し陽性率, 最高水素濃度上昇値(ΔH2), 最高血糖上昇値(ΔBS)を検討した. BHTではΔH2が20ppmを越える上昇例を, LTTではΔBSが10mg/dl未満の上昇例をそれぞれ陽性と判定した. 陽性率は健常群ではBHTで50%, LTTで72.5%, 患者群ではBHTで83.3%, LTTで90.6%と健常群よりも有意 (P<0.05) に高値であつた. ΔH2やΔBSにも健常群と有意差がみられた. また小腸に病変を有した症例の陽性率はBHTで91.6%, LTTで92.3%と健常群より有意 (P<0.05) に高値でΔH2やΔBSにも差がみられたが大腸型では陽性率, ΔH2, ΔBSいずれも健常人との差はなかつた. この成績から小腸に病変を有する日本人 Crohn 病患者では乳糖20g (牛乳約400mlこ相当) の吸収能は健常人よりも低下していると結論した.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top