日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
閉塞性黄疸時の肝蛋白合成能とサイトカインに関する検討
木村 文夫宮崎 勝諏訪 敏一林田 和也柿崎 眞吾伊藤 博海保 隆
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1992 年 89 巻 11 号 p. 2673-2681

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抄録

閉塞性黄疸 (閉黄) ラットに認められる肝蛋白合成能の亢進の機序を明らかにする目的で, 閉黄ラットについて肝細胞性蛋白合成能 (HPS) と分泌蛋白合成能 (SPS) を測定し, 閉黄症例21例についてPTBD施行前と2週後に末梢血中のIL-1β, IL-6, TNFα, endotoxin (Et), acute-phase protein (APP), nagativeacute-phase protein (NAPP) を測定し以下の結果を得た. (1) HPSおよびSPSは閉黄により著しく亢進した. (2) IL-1βとIL-6は閉黄により有意に上昇しPTBD後に低下した. (3) TNFαおよびEtは検出されなかつた. (4) APPは閉黄により有意に上昇したがPTBD後の低下は認められなかつた. (5) NAPPは閉黄により有意に低下を示したが, PTBD後に回復した. 以上より, 閉黄ラットの肝蛋白合成能の亢進はAPPの合成亢進である事が示唆された.

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