日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
代償期肝硬変症に対するウルソデオキシコール酸 (UDCA) の治療効果と血中胆汁酸代謝に及ぼす影響
中村 公英青島 優谷 光憲加藤 隆文藤田 昌紀木村 淳長谷川 岳尚秋山 建児牧野 勲
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 89 巻 12 号 p. 2762-2770

詳細
抄録

肝硬変症に対するウルソデオキシコール酸 (UDCA) の治療効果を検討するため代償期肝硬変症(CLC) 6例, 慢性活動性肝炎 (CAH) 6例にUDCA600mg/日を12週間投与し肝機能, 血中胆汁酸代謝に及ぼす影響について比較検討した. GOT, GPT, γ-GTP, は両群で投与4週目から有意に低下し, 12週後CLC群が投与直前値のGOT79.3%, GPT81.1%, γ-GTP51.5%, CAH群が61.2%, 59.3%, 42.8%に低下した. 一方, UDCA投与後血中総胆汁酸は増加するがその程度はCLC群で著しかつた. 胆汁酸分画ではUDCAが主要胆汁酸となり, 他の内因性胆汁酸は低下したが, その場合ケノデオキシコール酸分画はCLC群が投与前値の86.1%に, CAH群が54.2%に減少し, CLC群の減少率がCAH群より軽度にとどまることを認めた. しかしUDCA投与による副作用は全例認めず, UDCAはCLCにおいても有用な治療薬になりうる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top