日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
経口金製剤 Auranofin 投与時に見られる下痢の機序に関する実験的研究
峯森 清春中條 忍馬場 忠雄細田 四郎
著者情報
キーワード: 小腸単離細胞
ジャーナル フリー

1992 年 89 巻 2 号 p. 486-492

詳細
抄録

慢性関節リウマチの治療薬である経口金製剤 auranofin (以下AF) を含む電解質溶液でラット空腸を潅流し, 水及び電解質のネットの輸送量と空腸粘膜のNa+, K+-ATPase 活性, c-AMP及びc-GMP濃度について検討した. また小腸単離細胞を用いてfura-2-acetoxyl-methyl ester (fura-2/AM) による細胞内Ca++濃度の変動をも検討した. AFは水及び電解質輸送を有意に減少させたが, その機序として潅流早期には細胞内Ca++濃度の上昇, 潅流後期にはNa+, K+-ATPase 活性低下及びc-AMP濃度上昇が関与していた. したがつてAFによる下痢発現には, 細胞膜ならびに細胞内メディエーターが, 時期を異にして関与していることが明らかになつた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top