日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ラット酢酸潰瘍の再発機序に関する免疫組織学的検討
細胞外基質および細胞回転について
八木 一芳
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1992 年 89 巻 4 号 p. 1155-1164

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抄録

ラット酢酸潰瘍治癒, 再発過程における fibronectin (FN), laminin (LM) の局在および再生上皮の細胞回転を腺境界潰瘍と胃底腺潰瘍で検討した. 胃底腺潰瘍は30日で瘢痕化し, その後再発は認めなかつた. 腺境界潰瘍は30日で半数以上が瘢痕化したが45日より再発した. LMは上皮, 血管などの基底膜に一致して局在した. 腺境界潰瘍では10日から20日にかけて再生上皮直下にFN陽性の紡錘形細胞の層が出現した. 再発後は線維組織の血管増生が持続し, 粘膜血流の減少がおこり, 再発の誘因となる可能性が示唆された. 再生上皮内のS期細胞は腺境界潰瘍では再発後に増加を, 胃底腺潰瘍では瘢痕化と伴に減少傾向がみられた.

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