1992 年 89 巻 7 号 p. 1399-1406
α-fetoprotein (AFP) 産生性ヒト肝癌培養細胞株 (HH2~6株) の増殖とAFPならびに albumin (ALB) 産生動態に及ぼす活性酸素の影響について検討した. その結果, 生細胞数は活性酸素濃度依存性 に減少し, 細胞増殖も抑制された. AFP単位細胞分泌量 (分泌能) は高濃度の活性酸素により有意に抑制され, 増殖期におけるAFP分泌能の増加も抑制された. また, AFP産生能は分泌能に相関した. 一方, ALBに対する活性酸素の影響はみられなかつた. 以上より, 活性酸素は腫瘍細胞に細胞障害と増殖抑制をもたらし, さらに選択的にAFP分泌能および産生能を抑制することが推察された.