1992 年 89 巻 8 号 p. 1477-1483
長期アンモニア経口投与がラット胃 immunoreactive-somatostatin (ir-SS) 濃度に及ぼす影響を検討した. 4週間0.01%アンモニア (pH9.6) 投与群の胃組織ir-SS濃度は, 4週間0.1%アンモニア(pH10.4), 0.1mM水酸化ナトリウム (pH9.6), 蒸留水 (pH7.0) 投与群および2週間0.01%アンモニア投与群より有意に高値であつた. 逆に胃液および血清中ir-SS濃度はアンモニア投与によつて減少傾向を示した. また, アンモニアが高濃度, 長期間になる程, 胃幽門領域粘膜の厚さと壁細胞数の有意な減少が見られた. 以上の事から, Helicobacter pylori 感染時の胃液中の濃度とされる0.01%アンモニア経口投与は胃粘膜の萎縮性変化と同時に, 胃ソマトスタチン放出に抑制的に作用する事が示唆された.