日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
エタノールによる[Ca2+]i上昇に伴うモルモット単離胃壁細胞の酸分泌機構の変化
二木 修司六反 一仁中村 圭也荻原 正示久津見 弘斎藤 利彦青池 晟川井 啓市
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1992 年 89 巻 8 号 p. 1484-1490

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抄録

モルモット単離胃壁細胞を用い, エタノールの酸分泌抑制の機序について検討した. エタノールはLa3+感受性のCa2+チャンネルを介し[Ca2+]iの上昇を引き起こし, その結果, カルバコール刺激による細胞内プールからの[Ca2+]i上昇反応を濃度依存性に抑制し, いわゆる脱感作による抑制機構が示唆された. 一方, エタノールによる[Ca2+]i上昇は, Ca2+依存性の protein kinase C (PKC) を活性化することを確認した. 事実, 壁細胞のPKCをホルボールエステルで活性化するとカルバコール刺激による酸分泌は低下したことより, エタノールによるカルバコール刺激の酸分泌抑制機序として, [Ca2+]i上昇による脱感作とPKCの活性化が関与している可能性が示唆された.

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© 財団法人 日本消化器病学会
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