日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
バルーン•カテーテルを用いた急性虚血小腸の実験病理学的研究
イヌ前腸間動脈主幹部の閉塞による組織障害について
中 英男三富 弘之菅 知也草野 正一奥平 雅彦
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1992 年 89 巻 8 号 p. 1491-1498

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抄録

我々は雑種成犬の前腸間膜動脈の入口部をバルーンカテーテルを用いて小腸の虚血実験モデルを作成し, 良好な実験結果を得た.
この実験モデルの虚血小腸粘膜の組織障害の程度を前腸間膜動脈の閉塞時間別 (3時間, 5時間, 7時間, 10時間, 15時間, 30時間) に検索した.
初期の小腸の虚血粘膜病変の発生部位は腸間膜に付着する反対側に認められた. 粘膜の肉眼所見は閉塞時間が5時間までは腸間膜付着対側に線状及び斑状の病変が帯状に出現し, 閉塞時間が7時間以上になるとこれらの病変は癒合して腸管粘膜の全体が出血病変に進展した. 同様の条件で, 22時間以上の閉塞を持続すると全例6頭が死亡した.

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