1992 年 89 巻 9 号 p. 1973-1981
本邦におけるNUDの実態につき検討したので報告した. 1990年2月から1年間に当院消化器科を初診で訪れた患者を母集団とし, AGAの定義に従い問診上NUDが疑われた106例に対し, 内視鏡, 腹部US等を施行し, 器質的疾患の有無について検討した. 胃潰瘍, 十二指腸潰瘍19例, 胃炎性の変化16例, 悪性疾患7例, その他8例の計50例では器質的疾患が認められ, NUDと考えられた例は56例 (53%) であつた. NUD群は若年者に多く, 特に40歳以下の女性に多い傾向がみられた. NUDと器質的疾患群は症状において有意差はみられなかつたが, 喫煙歴, 重度上腹部痛は潰瘍に多く, 腹部膨満感はNUDに多い傾向があつた.