日本消化器病学会雑誌
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胃粘膜酸塩基変動時の表層上皮細胞内pHと重炭酸イオン動態
米原 亨
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1992 年 89 巻 9 号 p. 1996-2006

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抄録

胃粘膜の防御能について, 食用蛙摘出胃幽門部粘膜を用い, in vitroでpH電極法とpH stat 法で研究を行つた. 血液酸塩基変動の影響を調べるために血流側のHCO3-濃度とCO2濃度を増減し, 電極法で表層上皮細胞内pHを, またpH stat 法でHCO3-分泌量を測定した. 細胞内HCO3-濃度とHCO3-分泌量は, 外因性の血流側HCO3-濃度に依存し, 代謝性アルカローシス時には粘膜の緩衝能は高まつた. 軽度の呼吸性アシドーシス時には細胞内HCO3-濃度が上昇し, HCO3-分泌量も増加した. これはCO2からの内因性HCO3-合成により緩衝力が高まつたものと考えられる. 本研究では酸塩基変動, 特にHCO3-濃度の細胞内変動が表層上皮細胞の防御能に重要であることが明らかとなつた.

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