日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
モルモット培養胃粘液細胞増殖におけるプロスタグランジンE2の役割
中野 修坂本 長逸誉田 芳孝松田 康平的崎 尚西崎 朗和田 謙鈴木 稔也内田 享長尾 宗彦春日 雅人
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1993 年 90 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

プロスタグランジン (PGs) がどのような機序で胃粘膜保護に関与するかを検討するため, モルモット胃粘液細胞初代培養系を用い, PGE2の細胞増殖に及ぼす効果を観察した. モルモット胃粘膜よりコラゲナーゼ, EGTA処理により作製した遊離細胞を, 10%ウシ胎児血清下で24時間培養して得られた単層細胞は, 粘液産生細胞を主体とすることが形態学的および組織化学的に確認された. この細胞は, 10%血清に反応して上清中にPGE2を分泌し, かつこれは添加したアラキドン酸 (AA) に部分的に依存して認められた. 細胞をインドメタシン (IND) で前処理すると, PGE2分泌のみならず細胞数の増加も10%血清単独群に比し抑制されたが, さらにPGE2を同時添加することにより, INDによる細胞数増加の抑制は有意に解除された. したがって, 胃粘液細胞の増殖に細胞自身より分泌されるPGE2が一部関与する可能性が示唆された.

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