日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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胆石症胆嚢における胆嚢収縮能と筋層の形態; 特に筋層線維化との関連について
免疫組織化学を用いた形態学的検討
峯苫 智明
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1993 年 90 巻 12 号 p. 3018-3027

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抄録

胆石症胆嚢の筋層を形態学的に観察し, 胆嚢収縮率と筋層線維化との関連を検討した. 1) 胆嚢壁線維化が強まるほど胆嚢収縮能は低下した. 2) 筋層線維化著明群は非著明群より多くのマクロファージ(Mφ) 抗体陽性細胞を認め, TGF-β抗体陽性細胞数も有意に増加していた. 3) 筋層線維化著明群では収縮型から合成型へと変化した平滑筋細胞 (SMC) や線維芽細胞が頻度多く観察された. 4) 免疫組織化学により線維芽細胞のほか合成型SMCの rER にもType I, IIIコラーゲンの局在が認められた.
以上のことから, 胆石症胆嚢の収縮能低下には胆嚢の線維化が一因となり, その線維化には筋層に増加した Mφ, 線維芽細胞, 合成型SMCが関与していることが示唆された.

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