1993 年 90 巻 3 号 p. 685-692
ラット膵腺房および腺房細胞癌由来の細胞株 (AR42J細胞) において, コレシストキニン (CCK) およびセクレチンのインスリン結合に及ぼす影響を検討した. 100pM~10nM CCKは膵腺房へのインスリン結合を抑制したが, 同じ濃度範囲のセクレチンには有意な抑制作用はなく, 100pMセクレチンはCCKの作用を増強しなかった. 12-O-tetradecanoylphorbol 13-acetate (TPA) はインスリン結合を抑制したが,A23187の作用は有意でなく, CCKの作用にはCキナーゼの関与が示唆された. これに対し, AR42J細胞ではCCKやTPAによるインスリン結合抑制が認められず, 正常膵腺房細胞でみられたCCKとインスリンの相互作用が如していることが明らかとなった.