日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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ハムスター膵癌皮下移植モデルにおけるUFTおよびCR1505併用効果の検討
富岡 雅夫宮崎 直之山本 正博斎藤 洋一
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1993 年 90 巻 3 号 p. 693-699

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抄録

ハムスターに N-nitrosobis (2-oxopropyl) amine (BOP) を投与し発生した膵管癌を, ハムスターの皮下に継代移植したモデルを用い, UFTとCR1505の併用投与による腫瘍増殖に及ぼす効果を検討した. 腫瘍の大きさ (長径×短径) はUFT, CR1505単独投与群に比べ両者の併用投与群で有意に抑制され, BrdU 免疫染色法による labelling index においても併用群が単独群に比べ有意な低下を認めた. しかも体重変化と血液学的検査では単独群と併用群との間で有意差を認めなかった. 一方, 5-FU, FT-207の腫瘍組織内濃度は, UFT群と CR1505+UFT群では差は認めなかった. 以上の結果より, 膵癌に対して, UFTとCR1505を併用した新しい治療法の可能性が示唆された.

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