1993 年 90 巻 4 号 p. 765-773
24時間胃内pHモニタリングを施行し, 胃液酸度の面から難治性胃潰瘍の病態および治療のあり方について検討した.
標準量のH2受容体拮抗薬投与下において難治性胃潰瘍と易治性胃潰瘍は夜間の酸分泌には差がなかった. 日中では, 難治性群で胃液酸度が有意に高く, 日中のpH3 holding time rate 45%をもって両者を判別することができた. 一方, これらの難治性胃潰瘍に対して胃酸分泌抑制作用を有するPGE2製剤の併用あるいは proton pump inhibitor への変薬によって日中の胃内pH上昇がみられ, 治療変更後に早期治癒が得られた. すなわち, 日中の胃液酸度の抑制が不十分なことが難治性胃潰瘍の病態であり, これを抑制することにより速やかな治癒が期待できると推察された.