1993 年 90 巻 4 号 p. 789-794
two-step PCR法を用いて胆道系悪性腫瘍におけるK-ras 遺伝子 codon 12における点突然変異の検出を試みた. 胆嚢癌11例中6例, 肝外胆管癌10例中10例, Vater 乳頭部癌4例中4例, 胆管細胞癌2例中2例で変異バンドが認められた. 正常バンドと変異バンドの濃さの比較から推定される全腫瘍細胞に占める変異細胞の割合は低率であるものが多く, 癌化の初期に関与した変異K-ras 遺伝子をもつ細胞が腫瘍の発育•進展に伴い選択•淘汰を受けた可能性も考えられた. また two-step PCR法は変異検出感度に優れ, 変異細胞の比率が低い腫瘍における検出に有用と思われた.