日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胆道系悪性腫瘍におけるK-ras gene codon 12における点突然変異の検出
Two-step PCR法による検討
渡邉 雅男田中 淳司政氏 伸夫松浦 淳木山 善雄森井 健直原 徹斎藤 雅雄比嘉 敏夫笠井 正晴浅香 正博宮崎 保
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 90 巻 4 号 p. 789-794

詳細
抄録

two-step PCR法を用いて胆道系悪性腫瘍におけるK-ras 遺伝子 codon 12における点突然変異の検出を試みた. 胆嚢癌11例中6例, 肝外胆管癌10例中10例, Vater 乳頭部癌4例中4例, 胆管細胞癌2例中2例で変異バンドが認められた. 正常バンドと変異バンドの濃さの比較から推定される全腫瘍細胞に占める変異細胞の割合は低率であるものが多く, 癌化の初期に関与した変異K-ras 遺伝子をもつ細胞が腫瘍の発育•進展に伴い選択•淘汰を受けた可能性も考えられた. また two-step PCR法は変異検出感度に優れ, 変異細胞の比率が低い腫瘍における検出に有用と思われた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top